親から相続した実家、転勤や住み替えで空いた家。人が住んでいれば自然に行われている換気や通水がなくなると、家は思っている以上に早く傷みます。このガイドでは、空き家を良い状態に保つために必要なことを、ご自身で通う場合も、人に頼む場合も使える形でまとめました。
空き家が傷みやすい理由
- 湿気:閉め切った家には湿気がこもり、畳・ふすま・押し入れ・壁にカビが生えます。特に梅雨から夏にかけて進みます。
- 排水口の封水切れ:水を使わないと排水トラップの水が蒸発し、下水の臭いや虫が上がってきます。
- 気づかれない雨漏り:瓦のずれや雨どいの詰まりから始まり、天井のしみ、木部の腐れへと広がります。
- 害虫・害獣:シロアリ、ネズミ、地域によってはハクビシンなどが、人の気配のない家に住みつきます。
- 庭木と雑草:ひと夏で隣地や道路にはみ出します。近隣からの苦情で最も多いきっかけです。
訪問のたびにやること
- 換気:晴れた日に、窓・雨戸・押し入れ・収納を開けて1時間以上風を通す。
- 通水:すべての蛇口から1〜2分水を流し、トイレも流して、排水口の封水を保つ。
- 雨漏り・水漏れの確認:天井や壁の上部のしみ、流し台の下、浴室・トイレまわり、給湯器の下の床。
- 外まわりの確認:屋根瓦・棟瓦、雨どい、外壁、基礎、塀やブロック塀。
- 害虫・害獣の痕跡:フン、かじった跡、基礎の蟻道、春の窓辺に落ちた羽。
- 庭の手入れ:境界を越えている枝や、屋根・電線にかかる枝を切る。
- 郵便受けの確認:郵便物がたまると空き家だと分かってしまいます。税金や自治体からの通知を見落とさないためにも大切です。
- 戸締まりとメーター:すべて止めているのに水道メーターが動いていれば、漏水のおそれがあります。
- 写真の記録:各部屋と家の四方を、日付入りで撮影。変化に気づけるうえ、保険の請求にも役立ちます。
印刷して使える「家を閉めるとき」「家を開けるとき」のチェックリストもご用意しています。
どのくらいの頻度で通えばよい?
法律で決まった回数はありませんが、換気と通水のために月に1回程度が目安とされることが多く、梅雨の時期や台風・大雪・地震のあとは、追加で確認するのが理想です。毎月通うのが難しい場合は、定期的な訪問に加えて、災害のあとに必ず誰かが確認する体制をつくっておきましょう。大切なのは、傷みを早く見つけることと、きちんと管理している記録を残すことです。
季節ごとの対策
- 春:冬の間の傷みを確認。シロアリの羽アリが出る時期(4〜6月ごろ)なので要注意。庭木が伸びる前に手入れを。
- 梅雨(多くの地域で6〜7月):カビが最も増える時期。晴れ間に換気し、押し入れの戸を少し開けておく。排水付きの除湿機も有効です。「梅雨のチェックリスト」
- 台風シーズン(おおむね7〜10月):事前に雨どいの掃除、雨戸の確認、飛ばされやすい物の片付け。通過後は屋根と窓を確認。「台風・地震への備え」「台風のチェックリスト」
- 秋:落ち葉で詰まった雨どいの掃除、庭木の剪定、冬支度。
- 冬:寒冷地では水抜きをして凍結による破裂を防ぐ。雪国では屋根の雪下ろしの手配を。「冬のチェックリスト」
一年の流れは「季節のお手入れ」のページでも確認できます。
地震のあとに
中程度の揺れでも、壁のひび、瓦のずれ、配管の破損が起きることがあります。まず外から安全を確認し、室内ではひび、建具の開け閉め、水漏れ、ガスの臭いを確認します。「地震後のチェックリスト」もご活用ください。
電気・水道・ガスは止める? 残す?
- 電気:照明、除湿機、防犯カメラなどのために、基本契約を残す方が多いです。使わない回路はブレーカーで切っておきます。
- 水道:通水や掃除のために残しておくのが一般的です。寒冷地では訪問のたびに水抜きを。
- ガス:使わない間は止めておき、必要なときに開栓を依頼することが多いです。地方ではプロパンガスが多く、地元の販売店が対応します。
基本料金はかかりますが、配管の破裂やカビの被害に比べれば小さな負担です。
ご近所と自治体
何かあったときの連絡先をご近所に伝え、自治体にも確実に連絡がつく住所を届けておきましょう。ご近所は異変に最初に気づいてくれる存在であり、庭や屋根が荒れたときに最初に困る存在でもあります。
放置したときの法律・税金のリスク
2023年12月13日から、「特定空家」に加えて「管理不全空家」という区分ができました。どちらかで勧告を受けると、土地の固定資産税の住宅用地特例が外れ、税額が大きく上がることがあります。詳しくは「管理不全空家とは」をご覧ください。
- 相続登記は2024年4月1日から義務になりました。「相続登記の義務化と期限」
- 固定資産税は毎年かかります。海外にお住まいの場合は、通常、納税管理人を定める必要があります。
空き家の火災保険
火災保険は一般的に火災や風災を補償し、水災は任意のことが多いです。人が住んでいない家は扱いが変わる保険会社もあるため、空き家であることを伝え、契約の条件を確認しておきましょう。地震による被害は地震保険の対象です。
誰に管理を頼むか
- ご自身・近くのご家族:費用は最も抑えられます。定期的に通えて、見るべき点を分かっていることが前提です。
- シルバー人材センター:草刈りや簡単な作業を手頃な料金で頼めることがあります。自治体の空き家相談窓口も活用できます。
- 空き家管理サービス:決まった頻度で巡回し、毎回報告をもらえます。地元の不動産会社や全国規模の会社などがあります。
- 海外にお住まいのご家族がいる場合:英語での報告や連絡に対応できる管理会社を選ぶと、ご家族の間で情報を共有しやすくなります。
費用の比べ方は「空き家の管理費用はいくら?」、遠方の場合は「遠方の実家を管理するコツ」もあわせてどうぞ。
MonoHausに頼む場合の料金
MonoHausの空き家管理は、巡回の頻度でプランを選べます。
- 見守りプラン:月額¥14,000・年4回の巡回
- 総合管理プラン:月額¥26,000・年6回の巡回
- 常時管理プラン:月額¥42,000・年12回の巡回
巡回のたびに写真付きの報告をお送りします。修繕は別途お見積もりとなり、ご承認いただいてから手配します。まずは初回点検(¥55,000)で家の状態を把握してから、プランを選ぶこともできます。詳しくは「料金のご案内」をご覧ください。
まとめ
換気する、水を流す、雨漏りを探す、庭を手入れする、郵便物を確認する、災害のあとに見に行く——そして記録を残す。これを続けていれば、空き家は良い状態のまま、保険の面でも、自治体との関係でも安心です。ご自身で通えないときは、代わりに見てくれる人を決めておきましょう。
本記事は一般的な情報をまとめたもので、法律・税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあり、状況によって判断が変わります。具体的なご判断は、司法書士・税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。必要に応じて専門家をご紹介します。
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